モバイル動画視聴の行方はどうなるんだ?

今インターネット上でもモバイル上でも動画の配信が熱い。
インターネット上では、YouTubeGoogleによる買収劇である。
モバイル上では、ケータイ電話へのワンセグ搭載の本格化がある。
YouTubeをただの違法動画が見放題の面白サイトだと思っている人はもはやいないと思われるが、YouTubeの本質はコンテンツプロバイダ、ユーザ双方にとってWin-Winなモデルを作った上で放送に革命をもたらすことを可能にした高度なビジネスモデルの構築にある。(いや、そうしないとYouTubeは存続できない。でもやれる可能性はかなり高いと思われる。)


個人的にモバイルの動画視聴に興味が湧いてきたので現状を分析してみた。
(YouTubeのクリーン化によって、YouTubeはアクセス数だけが強みのただの動画ポータルに成り下がるといったことも書きたいがやめた。)



ワンセグの普及】
 【ケータイ電話への搭載が本格化の傾向】

DoCoMo/au/softbankともユーザニーズに後押しされて、ワンセグケータイを揃え始めている。秋発表端末でDoCoMoは3機種、auは2機種の搭載端末を出す。(softbank未調査)



【メーカにとってうまみはある】

メーカにとってはうまみがる。というのも、ワンセグ搭載端末が出たおかげでワールドカップ開催時など、端末の販売台数が伸びて儲かっている経緯がある。

  
【通信キャリアにとってビジネス上のうまみはない?】

なお、TVが映る携帯電話の場合、TVの受信に関しては、携帯の電波を全く使用していない。つまり、ワンセグが映る携帯の場合、ワンセグ対応のTVと携帯電話をくっつけたものになっている。このため、携帯会社にとっては、ワンセグ放送そのものは、直接に利益には結びつかない。携帯会社は、データ通信とパケット通信が結びつく段階で初めて直接的な利益を得られるのだが、サイマル放送の現状ではうま味は少ない。むしろ、TVを見ている間は、パケット通信や通話での利用はほとんどないということで、マイナスであるとも言える。


「情報システム」講義 地上デジタル放送&ワンセグ編

iモードなどのパケット通信を行う時間をテレビに取られるリスクがある上に、放送内容と時系列で連動したサービスも現状行えないようで、ドコモなどは消極的だったらしい。。。

ワンセグの欠点】

 もう一つの大きな問題はやはり受信エリアだ。エリアという言い方をすれば確かにかなり広範囲の地域で受信できるのだが、エリア内であっても電車の中での受信状態はあまり良くない。首都圏だけでなく、大阪圏、名古屋圏であっても厳しいものがある。このエリア問題の解決は簡単ではない。放送中継局を多数設置するコストをカバーできるだけのビジネスモデルが見えないからだ。
最新競馬ニュース

使ってみて思うが、都心の中でも地下鉄ではワンセグはもちろん見られない。

【対抗馬:ロケーションフリー

ロケーションフリーテレビは、ソニーが販売する無線LANを搭載したテレビの名称。旧名はエアボード。2000年9月に初めて発表された。2005年10月現在、LF-X5、LF-X1、LF-PK1(+LFA-PC2)の3機種が販売されている。なお、「ロケーションフリー」はソニー登録商標となっている。省略し「ロケフリ」とも呼ばれている。


この製品は、映像信号をリアルタイムでMPEG-4あるいはMPEG-2に変換してIP(Internet Protocol)パケットとして送信することで、テレビ放送をインターネットを介してリアルタイムで視聴できるという、それまでに存在しなかったカテゴリの商品。


出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)

その他の特徴として、

  • 家のHDDレコーダの内容も外から見られる
  • PSPW-ZERO3からでも見られる

といったものがある。
【公共無線LANサービスは増加中】
最新競馬ニュースさんの記事でも言われているが、じわりじわりと公共無線LANサービスが広がりを見せている。これはロケーションフリーの普及を後押しするものであるが、ロケーションフリーには初期導入コストという問題がある。自宅内では、光回線が引いてあることが前提であるし、宅内からデータを発信するためのベースステーションの購入やPSPやノートパソコンなど受信のための端末も用意しなければならない。地方へ転勤した人が東京のテレビを見ることが出来る、海外からでもテレビが見られるというメリットを勘案してどこまで販売が伸びるかはわからない。


しかし、録画したデータを好きなときに楽しむことが出来るという点ではワンセグを超えているし、無線LANが普及すれば期待は大きい。


【ケータイ電話への搭載】
もしもケータイ電話へロケーションフリーの機能が載るとどうだろうか?上記のデメリットの一つをなくすことが出来るため、一歩前進となる。

 
【対抗馬:インターネット動画配信】

YouTubeの台頭】
ケータイ電話は、今データ通信の高速化を迎えている。大体、2Mbps〜3Mbpsの速度でパケット通信を行うことが可能になってきている。現在のインターネット動画配信がケータイ電話に載るということは考えられないか?これならば、ユーザにとっての導入コストはケータイ電話のみとなり最小である。しかし、そのためにはいくつか課題がある。
【課題1:トラフィックの増加にどう対処するか?】
現在のケータイ電話のパケット通信速度は速くはなったもののベストエフォートであるため、利用者数が多くなれば通信速度はそれだけ落ちる。通信速度が落ちれば、動画の品質にも影響が出るためユーザエクスペリエンスを満足させることはおそらく出来ない。


【課題2:ケータイがストリーミングの再生を許可するかどうか】
ケータイ電話はフルブラウザ化が加速している状況ではあるが、肝心の動画や音声ファイルの再生は出来ないものが多い。それは通信キャリアのコンテンツ戦略によるところが大きい。とは言っても、ソフトバンクなど奇襲が必要な通信キャリアにとっては強い鉄砲玉になる可能性は高い。現在、定額化の加速でトラフィック収入は危ぶまれているので、サービスの利用料を一つ削るのは諸刃の剣ではある。

結局、ワンセグとモバイル動画配信サービスの一騎打ちになると感じた。
通信キャリアの決断が情勢を決めることは間違いなさそう。
しかし、無線LANの台頭が加速したときにモバイルの主役はケータイではなくなるように感じた。オープンな無線LANでは、ニンテンドーDSPSPskypeなどなんでもありの戦国時代である。